マダニにご用心!
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは
気温が上昇し、アウトドアのシーズンが到来しました。
この時期に注意が必要なのが、マダニなど節足動物を介する感染症です。
今回は、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という覚えにくい病名についてご紹介します。
SFTSは、SFTSウイルスを持ったマダニに刺されて感染することで発症します。
我が国では西日本を中心に患者さんの報告がありますが、キャンプやハイキング、草刈り、家庭菜園など屋外で活動する機会が増えるこれからの時期は、どこでも注意が必要です。
ただし、すべてのマダニがウイルスを持っているわけではなく、数%程度の保有率です。
SFTSの主な症状とは?
潜伏期は6日~2週間程度で、主な症状は以下の通りです。
- 高熱(39℃以上)
- 嘔気、嘔吐、下痢などの消化器症状
- 全身のだるさ
これらの症状に加え、血液検査で血小板や白血球の減少、肝臓の数値の異常が見られます。
致命率は約27%と言われています。
SFTSは主に高齢者に発症し、年齢が高いほど致命率が高い傾向にあります。
SFTSと診断された場合、新たに承認された抗ウイルス薬(ファビピラビル)が使用されることがあります。
マダニはどこにいるの?
マダニは普段私たちが想像するダニの大きさとは異なり、肉眼で見えるほどの大きさがあります。
主に草むら、草やぶ、森林などに生息しており、散歩中のペットに付着することもあります。
SFTSをどうやって予防する?
- 肌の露出を避ける
草むらに入る際は長袖、長ズボンを着用し、帽子、手袋も装着しましょう。首にタオルを巻くなどして、肌の露出をできるだけ少なくすることがポイントです。 - 虫除け剤を使用する
ディートという成分が含まれている虫除け剤を肌の露出部に適切に使用しましょう。 - 屋外活動後はチェック
家に帰ったら、すぐに全身にマダニが付着していないかチェックしましょう。特に脇の下、足の付け根、ひざの裏、頭部などは念入りにチェックしましょう。 - マダニを発見したら
マダニの口にはとげがあり、容易に抜けないようになっています。もしマダニが皮膚に食いついているのを見つけても、無理に引っ張らないようにしましょう。マダニの体の一部が皮膚に残ってしまい、化膿してしまうことがあります。できるだけ早く受診し、適切な処置を受けましょう。
マダニに刺されたら医療機関へ
もしマダニに刺された、もしくは屋外活動の後に発熱、消化器症状などが出た場合は、お気軽にご相談ください。
楽しいアウトドアの季節、マダニなど節足動物による感染症の知識を持ち、安全に楽しみましょう。
出典
厚生労働省ホームページ(重症熱性血小板減少症候群について)
日本医師会雑誌2023年7月号
重症熱性血小板減少症候群 診療の手引き2024年版
- インフルエンザ
- ノロウイルス感染症
- 甲状腺疾患
- 花粉症
- アレルギー性鼻炎
- 気管支喘息
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS)
- 加熱式タバコについて
- 禁煙のすすめ
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