胸痛の原因、「INOCA(イノカ)」ってどんな病気?
胸が苦しい、締め付けられるような痛みがある、という症状で心臓の検査を受け、「心臓の血管に狭い部分はない」と言われたのになぜか症状が続く・・・
そのような経験はありませんか?
もしかしたら、それはINOCA(イノカ)という病気かもしれません。
INOCAとは?
INOCA(イノカ)は、Ischemia with Non-Obstructive Coronary Arteries(冠動脈閉塞を伴わない心筋虚血)の略称で、心臓の太い血管に問題がないにもかかわらず、狭心症のような胸の痛みや不快感が続く病気です。
この症状は、心臓の血管が一時的にけいれんしたり、心臓の小さな血管に機能不全が起きたりすることで、心臓への血流が一時的に不足することが原因で起こります。
これは、心臓の血管が狭くなっていないのに心臓に酸素が届かず、胸の痛みなどの症状が出る病気です。
狭心症の検査を受けた人の約半数にこの状態が見られることが分かっており、決して珍しい病気ではありません。
どのような症状がありますか?
INOCAの症状は人によってさまざまですが、以下のようなものがあります。
- 胸の締め付け感や圧迫感
- 顎、左肩、左腕などへの痛み(放散痛)
- 労作時だけでなく、安静時にも起こる胸痛
- 痛みが10分以上続くことがある
- ニトログリセリン(舌の下に入れる薬)の効果が乏しいことがある
INOCAの原因
主な原因は、以下の2つに大別されます。
冠攣縮(かんれんしゅく)
心臓の血管が一時的にけいれんし、血流が悪くなる状態です。
冠微小循環障害(CMD)
心臓の奥にある小さな血管の働きが悪くなり、血流が十分に増えなくなる状態です。
これら両方の状態が、同時に見られることもあります。
INOCAの診断
INOCAの診断は、まず症状と検査で心筋虚血が証明されているにもかかわらず、冠動脈造影や冠動脈CTで狭窄がないことを確認することから始まります。
さらにINOCAの原因を特定するためには、以下の精密検査を組み合わせて行われます。
冠攣縮薬物誘発試験
薬剤を冠動脈内に注入し、冠動脈のけいれんが誘発されるかを調べます。
冠血流予備能(CFR)や冠微小血管抵抗指数(IMR)の測定
特殊なガイドワイヤーを用いて、心臓の微細な血管の拡張能や血流抵抗を評価します。
INOCAの治療
治療は、生活習慣の改善と薬物療法の組み合わせが中心となります。
日常生活の管理
禁煙、節度ある飲酒、適度な運動、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の管理が重要です。
薬物療法
血管を広げる薬や、けいれんを抑える薬などが使われます。痛みの発作時には、ニトログリセリンなどが使用されることもあります。
もし「血管に問題はない」と言われたのに胸の症状が続く場合は、INOCAの可能性もありますので、専門医に相談することをお勧めします。
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